まず、結論から言いますとトランプ関税46%がそのままベトナムには適用されないというシナリオで考えるならばお得に購入できたと考えております。
もしベトナムに46%の関税が課された場合、同社は米国市場から撤退し株価は大きく下がると考えております。
2025年第1四半期の業績は以下の通りとなりました。
- 売上 +36.3%(過去3年で最高水準)
- 利益 -40.4%
- 加工エビ生産 25833トン +22%
- エビ製品 22164トン +28%
- 農産物 1309トン -34%
利益の減少は反ダンピング税の引当金と輸送費が2倍、販管費が3倍になった事が要因です。
同社の最大顧客は米国で33%、日本は28%、EUは21%を占めております。
⽶国がベトナムの⽔産物に⾼い税⾦を課すことによる予想される影響
まず、46%のシナリオの場合は売りです。現在競合国は20%ですから対抗できません。
次に半分の23%が課された場合は競合が20%ですので業績は低迷しますが米国でも戦えると考えております。
1年目の業績は不安定になりますが関税の変化に対応する来期からは業績も安定しようと考えております。その時、株価は居心地の良い水準まで戻っていくのではないでしょうか…?
2025年の同社の業績予想
会社側の発表した来期の業績予想は以下の通りとなっております。同社は2024年第3四半期にサオタシーフード⼯場の⽣産能⼒を80%増強しております。(サオター2シーフード⼯場とタムアン⼯場の⽣産能⼒増)
- 売上 6兆5,400億ドン -5.4%
- 利益 4,200億ドン -0.4%
- 現金配当20%、(2024年は20%)
- 加工エビ生産 25000トン -3.2%
- エビ製品 22000トン -0.7%
- 農産物 1300トン -0.7%
Q1の業績予想は関税に備えて多くの輸出を行っております。(米国の在庫増になります)
- 加工エビ生産 5914トン +41.2%
- エビ製品 6119トン +43.2%
米国向けの売上高は大きいが利益率が低いため、売上は減少した場合利益の減少幅は純利益率8.1%よりも高い見通しになる様です。
同社は今後、米国の代わりに既存市場である日本に注力し、新規でカナダ、オーストラリアへの販路を開拓する予定です。
会社の2025年の利益予想は以下の通りです
- 純利益 3390億 VND
- EPS 5,184
- BPS 36,335
- PBR 0.97
これを今の株価で計算しますと予想PER 6.8 利回り5.6% となりお得ですが、米国関税の影響を割り引いて考えてみた方が良いと考えております。
米国市場が半分となるシナリオで計算してみました。
この場合、売上は-17%減となり、純利益率は会社予想シナリオの6.4%で純利益をだしてみます。
売上 6兆5,400億ドン × 83% × = 5兆4,282億 VND となり、純利益率である6.4%で積算しますと3474億 VND となります。
この数字は会社の純利益予想に近い数字となっており、EPSは 前期の純利益率である 6.2% で計算しますと 5,312 VND となります。
予想PERは4/25時点の株価 35,500 VNDに対してPER 6.7 となり、これは過去2年来の9と比べると割安水準となっております。
最後に過去2年間のPER、PBRチャートでの比較です。過去2年の平均PERは 9.0 で推移しており、現在の株価は過去2年の下限値を割れており割安であると考えております。
https://finance.vietstock.vn/
次にPBRの水準です。会社予想での2025年の1株当たりの純資産(BPS)は36,335 VND であり PBRは 0.97でございます。
こちらも過去2年の下限値を割れており割安な水準にございます。
まとめ
今回のベトナムにおけるトランプ大統領の相互関税ショックは米国輸出割合の大きな企業にとっては大きな不確定要素をもたらしております。
しかしながらコロナショック、インフレ禍による食糧高騰等、過去にも市場環境の大きな変化はいくつかございました。
その都度、同社は変化する市場において柔軟に対応し今の規模にまで成長しております。
よってこの先3年~5年の長期投資をベースに企業の価値を測った場合には、現在の株価は割安な評価として映ります。
私はそのような価値判断のもとに今回、関税が直撃する水産セクターを購入するに至りました。
もう1つの水産株につきましては以下の記事にてご紹介しております。
https://finance.vietstock.vn/dd
今回の記事は以上となります。
皆様のご投資がうまくいかれますように、お祈りしております。
今日も笑顔の一日であります様に…🌌😁
参考資料
エビはベトナムの主要輸出品目で水産総額の39%を占めております。
競合国はエクアドル、タイ、インド、インドネシアで安価品については利益率は小さいです。(儲からない)
今後はカナダ、中東、オーストラリア、英国、韓国が潜在的な輸出先として予想されております。
FMCは国内5位の大手水産加工業者です。大株主はPAN、タイCPで6割です。
売上の98%がエビ及びエビ加工品によるものになります。
エビの養殖面積は525㌶でここから生エビの30%を仕入れています。
同社は飼料価格の安くなる畜産業の閑散期に飼料を仕入れる等、コスト削減に努めております。
日本向けには加工エビ、安価なエビはインドネシア、インド、エクアドルが競合です。
米国向けの関税は相互関税前はインド産CVD税 5.77%、エクアドル CVD 3.78% ベトナム CVD 2.84%
追記株主総会メモ
4/23のニュースで先週コストコとの契約があったとの事です。つまり相互関税発表後に契約を行ったという事でして、記事からは米国売り上げは -20% 程度の影響があると予想されます。
つまりコストコのPB商品としてサオタのエビ商品は輸出するという事だと考えております。
また、原油価格の下落、飼料価格の下落はある程度の売上減を相殺するかもしれません。
ですが、引き続きFMCにとっては向かい風の環境は続くと思われます。
すぐに回復するような状況ではなく数年かけての緩やかな戻り基調になると考えております。
>コストコがカークランドシグネチャーブランドを通じて米国にエビを直接輸入したいと考えているという朗報があります。輸入価格は類似製品より約20~25%高くなります。 2,000トンの契約は先週締結された。
>第2四半期の輸出計画につきましては、輸出量が80%に達すると予想しております。
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